「プロサッカー選手になることは、手段の一つだった。」三好崇斗がNAGAREYAMA F.C.で見つけた、本当に叶えたかった夢

NAGAREYAMA F.C. PLAYER’S STORY|三好 崇斗選手
「プロサッカー選手になって、多くの人に夢や感動を与えたい。」
ずっとそう思ってサッカーを続けてきた三好崇斗選手。
大学卒業を前に海外でプレーすることも考えていましたが、縁があってNAGAREYAMA F.C.の練習に参加し、入団を決めました。
そこで気づいたのが、「プロサッカー選手になること」そのものが、自分の夢ではなかったということでした。
仕事との両立、2026シーズンのキャプテンとしての葛藤、地域活動、応援してくれる人との出会い。
決して楽しいことばかりではない社会人サッカーを続けながら、三好選手は何を感じ、何を得てきたのでしょうか。
本人の言葉から、その道のりを語っていただきました。
「僕が本当にやりたかったのは、多くの人に夢や感動を与えることだった」
—— 三好選手がずっと持っていた「夢」とは、どんなものだったのでしょうか?
三好:
「僕の夢は、プロサッカー選手になって、多くの人に夢や感動を与えることでした。
ずっとそういうふうに思ってきたんですけど、NAGAREYAMA F.C.に入ってみて、プロサッカー選手になるっていうのは、手段の一つに過ぎなかったんだなって気づかされました。
僕が本当にやりたかったのって、自分のプレーで多くの人に夢や感動を与えることだったんですよね。
それが自分の夢だったんだなって、気づいたんです。」
NAGAREYAMA F.C.に来る前は、海外でサッカーを続けることも考えていた三好選手。
しかし、金銭面などを考えて国内でプレーすることを選択。そこで、以前から声をかけてもらっていたクラブの練習に参加しました。
三好:
「NAGAREYAMA F.C.の練習に参加したら、想像の何倍もレベルが高かったんですよ。
あと、千葉県2部で優勝してシャーレを抱えている写真とかを見て、『こういうクラブなんだ』って。
もしかしたら自分にもできるかもしれないと思いました。
入団するときは、『ここなら自分の夢って実現できるんじゃない?』みたいなワクワク感がありましたね。」
「勢いで『入ります』と言ったものの、内心ビクビクしていました」
サッカーでは大きな可能性を感じた一方、入団する際には別の不安もありました。それが仕事です。
—— 入団前の不安として「キャリアの不透明さ」を挙げていましたね。
三好:
「入団するとき、僕は会社の内定をもらっていたわけじゃなかったんです。
スポンサー企業を紹介してもらえるという話だけは聞いていましたけど、どういう企業があるのかも全然分からなくて。
勢いでとりあえず『入ります』とは言っちゃったものの、その後に仕事を選ぶ感じだったので、『一体どういう選択肢があるんだろう?』という不安は結構ありました。
契約書にサインするまで、仕事の話はほとんどした記憶がないんですよ。
だから内心ビクビクしていましたね(笑)。」
入団が決まった後、クラブとの面談で希望を聞いてもらい、いくつかの企業から働く場所を検討しました。
ただ、三好選手が会社を選ぶうえで大切にしていたのは何だったのでしょうか。
三好:
「自分がどれだけ貢献できるかとか、自分がどれだけ興味を持てるかを大事にしていましたね。
(現在、三好選手が勤めるおかもとポンプ株式会社様の)ホームページを見たときに、水という人間に欠かせないものを扱っていて、海外でもポンプを届けて人を助けるようなことをしている。
何をするかまでは全然分からなかったですけど、『こっちの方が自分に合ってそうだな』って。
最後は直感ですね。」
一方で、新卒という一度しかないタイミングで、一般的な就職活動とは異なる道を選ぶことへの迷いもありました。
三好:
「新卒って人生で一回しか使えないカードだから、『そのカードをこんな形で切るのか』という不安はありました。
このスタートで、10年、20年、30年と仕事のキャリアを築いていく中で、本当に大丈夫なのかって。
(「新卒採用」に関する世間の)情報に踊らされないように、なんとか自分をコントロールしていましたね。」
若干の不安を抱えながらも入社を決めた、おかもとポンプ様。
上司や同僚の方は三好選手の応援幕やフラッグを制作して試合に訪れるほど、手厚い応援をされているのが印象的です。
三好:
「実際に入社してみて、安心感はありましたね。
会社のみなさん、優しいです。」
「いいことより、悪いことの方が何倍も多い。それも全部『彩り』」

—— 今でもサッカーを続ける理由は、何かありますか?
三好:
「サッカーって、人生に彩りを持たせてくれると思うんです。
『彩り』って抽象的な表現なんですけど。
例えば去年とか今年とか、僕自身すごく苦しんでいるんですよ。
サッカーでは、いいことよりも悪いことの方が何倍も多くて。
悩んで、苦しんで、もがいてみたいな時期も過ごしています。
逆に一年目を振り返ると、すごく勢いもあって充実していました。
だから彩りって言っても、明るい色だけじゃなくて、暗い色もあるんですよね。
全部、本当にいろんな色がある。」
仕事にも、嬉しいことや悔しいことはあります。
それでも三好選手にとって、サッカーが生み出す感情の振れ幅は特別です。
三好:
「普通に社会人として仕事をしていても、成果が出たとか、怒られたとか、明るい色も暗い色もあると思うんです。
でも、サッカーほど自分の人生に彩りを持たせてくれるものはないだろうなって。」
—— 「生きている実感」という感覚ですか?
三好:
「そうですね。
生きている心地というか。
多分、それが今サッカーを続けている理由なんじゃないですかね。」
試合に出ていても、結果が出なければ苦しい。
2025シーズンは副キャプテン、そして2026シーズンではキャプテンという立場になって、自分自身のプレーだけではなく、チーム全体について考える時間も増えました。
三好:
「試合に出られない選手には、出られない悔しさがあると思います。
でも、試合に出させてもらっている側も、結果が出ないと『自分のせいなんじゃないか』『俺じゃない方がいいんじゃないか』って考えることがあるんですよ。
監督は信頼してくれてるし、自分もやれることはやってる。
決してチームの足を引っ張っているつもりはない。
でも結果が出ないなら、自分は出ない方がいいんじゃないかって。
そういうネガティブなことを考える時間は、結構ありましたね。」
それでも続ける。
明るい色だけを求めるのではなく、苦しい時間も含めて自分の人生だと受け止める。
三好選手の言う「彩り」には、そんな意味が込められています。
「『夢や感動を与えたい』が、想像ではなくなった」
NAGAREYAMA F.C.へ入団して大きく変わったことの一つが、地域との関わりでした。
—— 地域活動を経験して得たことはありますか?
三好:
「昔から『プロサッカー選手になって、人に夢を与えるんだ』と思っていました。
自分の中では具体的に描いているつもりだったんですけど、実際は所詮、自分の妄想というか、空想の範囲だったんですよね。
でも地域活動をするようになって、
『どういう人がチームに関わってくれているのか』
『どういう思いで応援してくれているのか』
『イベントでつながった人たちは普段どんな生活をしていて、どんなときに僕たちを助けてくれているのか』
そういうことを全部、地域活動を通して知りました。」
—— 具体的に、自分の中ではどんな風に変わったんですか?
三好:
「『自分たちは皆さんの思いを背負って頑張ります』と言うときも、以前は想像の世界だったんです。
それが、本当に心の底から出る言葉になりました。
『僕たちが頑張る理由はこうです』
『僕たちの夢はこうなんです』
『僕たちはここを目指しています』
という言葉に、芯ができたというか。
今まで想像に頼っていた世界から、確信を持って自分の思いを堂々と言えるようになりました。
自分の考え方や伝え方が変わったと思います。」
入団当初は、先輩選手の後ろについて地域活動に参加することで精一杯だった三好選手。
しかし、活動を重ねるうちに、その意味が少しずつ分かるようになったといいます。
三好:
「誰かがすごい活動をしているとしても、そこについていくかどうかって結局自分の判断じゃないですか。
『あの人がやっているから自分もやろう』と思うのか、『自分はいいや』と思うのか。
僕は自分の夢を考えたときに、行動した方がいいなと思って、ちゃんと行動できた。
そこは自分自身を褒めたいですね。」
「パッとイベントに出て『応援してください』では、人は応援してくれない」
地域活動から学んだことは、仕事にもつながっています。
—— 事前アンケートで、「自分からコミュニケーションを取りに行き、信頼関係を作ることが大切」と回答していましたね。
三好:
「ただサッカーの練習をして、パッとイベントに出て『応援してください』と言っても、全然人は応援してくれない。
特にダイトくん(クラブ所属10番 寺内 大登選手)からは、そういうことをよく教えてもらっていました。
いろんなイベントに出るとか、地域に貢献するとか、まずは自分が行動する。
自分からコミュニケーションを取って、
『この選手なら応援したい』
『このチームを応援したい』
と思ってもらうことがすごく大事なんだと学びました。」
その考え方は、現在の仕事でも意識しています。
三好:
「仕事でも、『これお願いします』って言う前に、まずその人とコミュニケーションを取って、信頼関係を築いておいた方がスムーズなんですよ。
特に違う部署の人と関わるときは大事ですね。
僕の場合、最初は『サッカーで入ってきた若造が』みたいに見られることもあると思うんです。
そこでいきなり『僕、NAGAREYAMA F.C.なんで応援してくださいよ』じゃなくて。
まずその人と信頼関係をつくる。
仕事もちゃんとやり切って、
『あ、こいつちゃんと仕事やってくれるんだ』となってから、
『今度、試合来てくださいよ』
という順番です。」
そして、その経験ができたことについて、こんな言葉もありました。
三好:
「逆に、プロサッカー選手にならなくて良かったなと思う数少ない点の一つかもしれないです。
プロになれば、すでにファンがたくさんいるじゃないですか。
積極的にこういう活動をしなくても応援してくれる人が一定数いる。
でもNAGAREYAMA F.C.みたいなチームはそうじゃない。
自分たちで動かないと、応援してもらえる人は増えない。
その状況だったからこそ、自分が動く理由になったんだと思います。」
「俺はこの光景のために、イベントを頑張ってきたんだ」

地道な活動の先に、三好選手にとって忘れられない光景があります。
それがホームゲームです。
三好:
「ホーム戦のとき、めちゃくちゃ嬉しかったんですよ。
普段イベントでは会っているけど、遠方の試合にはなかなか来られない人っていっぱいいるじゃないですか。
ホーム戦の会場を見たら、知っている顔がたくさんいたんです。
『あの人も知ってる。この人も知ってる』って。
話しかけてもらったりして、
『俺、この光景のために今までイベントとか頑張ってきたんだ』って思いました。」
これまで地域活動をしながら、「応援してもらえている」という感覚はありました。
しかし、実際にその人たちが会場へ来てくれた姿を目にしたことで、それまで見えなかったものが形へと変化したそうです。
三好:
「本当に応援してくれている人がいるっていうことは伝わっていましたけど、実際に試合に来てくれるんだって。
すごく報われた感覚になりますよね。」
さらに、印象的な出来事がもう一つあったそうです。
シーズン最終戦に、三好選手のお母さんが観戦に訪れたときのこと。
三好:
「試合後にみんなで写真を撮るとき、人がバーッて集まるじゃないですか。
それを外から見て、母親が大泣きしてたんですよ(笑)。
もともと涙もろい人なんですけど。
『いいチームだね』『いい人たちに恵まれているね』って言っていて。
外から見ても、そういうふうに映っているんだなと思いました。
『愛されてるね』って、すごく喜んでました。」
かつて「プロサッカー選手になって、多くの人に夢や感動を与えたい」と考えていた三好選手。
もしかすると、その夢はすでに別の形で実現し始めているのかもしれません。
「知らない人から『三好選手のプレーが好き』と言ってもらえる」
地域との距離の近さを実感する場面は、他にもあります。
三好:
「僕は知らないんですけど、相手が一方的に知ってくださっていることが結構あって。
何かのタイミングで会ったときに、『三好選手のプレー大好きなんですよ』って言ってもらえたりするんですよ。
全然面識ないんですけど(笑)。
僕は『すいません、目立たなくて』って毎回謝るんですけど、『いや、それがいいんだよ』って。
そういうところまで分かってくれる人がいるんだって思います。」
小学校で体育の授業に参加した際には、児童から驚くような言葉をかけられました。
三好:
「小学2年生のクラスに行ったときに、女の子から、
『私のパパ、三好選手の大ファンだよ』
って言われたことがあって。
『嘘でしょ?』と思いました、本当に(笑)。
他にも病院に行ったら、そこの先生の旦那さんがNAGAREYAMA F.C.のライブ配信を見てくれていたり。
クラブが地域に根付いていくのを感じる瞬間は、凄く嬉しいですね。
本当に、直接応援してもらえている実感があります。」
「今の自分の体だけで、30代、40代、50代を考えない」

三好選手は、サッカーを続けるか、仕事を選ぶかという問いに対して、一つの正解を示そうとはしません。
自身もその選択に悩んだからこそ、長期的に人生を見ることを大切にしています。
—— 最後に「サッカーを続けるか悩んでいる」選手に向けて、メッセージをお願いします。
三好:
「自分自身、サッカーを続けるかどうかとか、キャリアの選択について悩んだ立場なんです。
だから本を読んだり、いろんな人の話を聞いたりして。
仕事の価値観もそうですし、人生の価値観もそう。
いろんな考えをインプットして、自分なりに落とし込んできました。」
特に意識しているのが、「今の自分」を基準に未来を考えすぎないことです。
三好:
「20歳の今の自分の体で、30代、40代、50代まで設計している人って多いなと思うんですよ。
今はすごく動けるから、『自分ならここまでできる』『何歳でここまでいける』って見積もる。
でも、ちゃんと健康のことも考えて、
『この頃にはこれくらい衰えているんだろうな』
『この頃にはこれは少しきつくなるんだろうな』
とか。
子どもができたり、家庭を持ったり、新しいライフステージもどんどん出てくる。
自分の思い通りにキャリアが進むとは限らないですよね。
そういう中に『健康』という視点も入れてキャリアを考えると、サッカーというものも、より多角的に考えられるんじゃないかと思います。」
サッカーに時間を使うのも、一つの選択。
仕事に力を注ぐのも、一つの選択。
どちらが正しいという話ではありません。
三好選手自身、悩み、考え、いろいろな人の価値観に触れながら、自分にとっての答えを探しています。
そして今も、サッカーを続けています。
明るい色もある。
暗い色もある。
思い通りにならない日も、苦しくてもがく時間もある。
それでも三好選手は言います。
「サッカーほど、自分の人生に彩りを持たせてくれるものはない。」
NAGAREYAMA F.C.での経験を通して、「プロになる」という夢の形は変わりました。
しかし、「自分のプレーを通じて、人に夢や感動を与えたい」という思いは、むしろ以前よりもはっきりしています。
そしてその相手は今、スタンドの向こうにいる「誰か」ではありません。
イベントで出会った人。
仕事で関わる人。
試合に足を運んでくれる人。
自分を知ってくれている子どもたち。
そして、自分の姿を見て涙を流してくれる家族。
夢だった景色は、思っていたよりもずっと近いところにあるのかもしれません。
