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「やれるうちに、やらないと。」仕事もサッカーも本気で続ける、佐藤史門の覚悟

2026 9/07
インタビュー
2026年9月7日
佐藤 史門選手インタビュー
目次

NAGAREYAMA F.C. PLAYER’S STORY|佐藤 史門選手

「やってて良かったなって思うことはあっても、やめた方が良かったと思うことは一回もない。」

仕事が終われば、練習へ向かう。
疲れた体でサッカーをして、家に帰って眠り、翌朝になればまた仕事へ向かう。
佐藤史門選手自身、その生活を「普通の人からしたら異常なライフスタイルだと思う」と話します。
それでも、サッカーをやめようとは思わない。
むしろ年齢を重ね、プレーできる時間に限りがあることを感じるようになったからこそ、「やれるうちに、やらないと」という思いは強くなっています。
現在はパートナー企業で働きながら、NAGAREYAMA F.C.でプレーする佐藤選手。
かつて本気で引退を考えたこともあるという彼が、なぜ今もサッカーを続けているのか。
仕事、キャリア、サポーター、そしてサッカーへの思いを聞きました。

「オープンに話してくれたことで、熱量を感じました」

—— NAGAREYAMA F.C.に入団した経緯から教えてください。

佐藤:
「岩手でチームメイトだった牧野がいたのが最初のきっかけです。
NAGAREYAMA F.C.のこと自体は以前から知っていて、ちょうど次のチームを探していたときに、地元も千葉だし、牧野もいるし、とりあえず行ってみようと思って練習参加しました。」

ただ、仕事などの都合もあり、参加できたのは一日だけ。
本来であれば、数日間プレーを見てから判断するのが一般的です。

佐藤:
「帰り際に監督(当時の高監督)と話したときも、『一日だと判断するのは難しい。何日か見たい』という話はあったんです。
でも翌日、休みの日に監督から電話をもらって。
30分くらいいろいろ話して、『一日だったけど、ぜひ来てくれたら嬉しい』って言ってもらいました。」

他にも練習参加を予定していたクラブはありました。
しかし、その電話を受けた後、すべて断りました。

佐藤:
「地域リーグで、監督が一人の選手に対して、休みの日にわざわざ電話して30分も話してくれるって、あんまりないと思ったんですよね。
チームとしてどういうことを考えていて、来シーズンどうしたいのかも、すごくオープンに話してくれて。
そこに熱量を感じました。
だから、もうそこで『行きます』って。
他に予定していた練習参加は全部断りました。」

練習に参加した際、佐藤選手が見ていたのは、クラブのプレーのレベルだけではありませんでした。

佐藤:
「僕、サボってる人がいると、一緒にやるの嫌なんですよ。
練習強度も見ていましたけど、それ以上に、露骨にサボっている人がいないとか、ちゃんとやっているかっていうところは結構見るポイントです。
NAGAREYAMA F.C.は、そこもしっかりしているなと思いました。」

パーソナルトレーナーから、まったく知らないITの世界へ

佐藤 史門

サッカーを続ける環境と同時に、考えなければならなかったのが仕事でした。
以前は、自分で仕事を探し、パーソナルトレーナーとして働いていました。

—— NAGAREYAMA F.C.へ来るときも、最初はフィットネス系の仕事を希望していたんですよね。

佐藤:
「そうですね。
最初は『フィットネス系の仕事をどうにか見つけてほしい』って話をしていました。
でも、当時求人が出ていたのがアルバイトばかりで。
さすがにバイトだと生活できないので、『ITだったら将来役立つかな』と思って、ツーサイドアップの面接に行かせてもらいました。」
これまで身体を動かす仕事をしてきた佐藤選手にとって、まったく違う世界へのキャリアチェンジでした。

佐藤:
「今までとは異なる業種ですね。
(IT業界は)全然触れてこなかった世界でした。
最初なんて、上司とか先輩が話している内容が、何を言っているのか分からないところから始まって(笑)。
出てくる単語の意味も分からないものが多かったので、それをひたすら調べて。
まず、その単語で何を話しているのか分かるようになるところからでした。」

最初の数カ月は、営業部に所属していたものの、扱う商材がまだ整っていない時期だったそう。
営業先のリストを作りながら、周囲の会話で分からない言葉があれば調べる。

佐藤:
「めちゃめちゃストレスはありましたけど(笑)。
逆に、営業する商材がまだなかった分、そういうところに時間と頭を使えたのは、偶然ですけど良かったのかなと思っています。
タイミングとか、いろいろちょうど良かったですね。」

「営業って資格ではないけど、スキルだと思っている」

その後、営業、映像サービスのプロモーションなどを経験し、現在は広告営業にも携わっています。
決して楽な仕事ではありません。

佐藤:
「今は正直、結構きついです。
営業なので断られることが前提みたいなところもありますし、任されている以上、結果も出さないといけない。
会社から評価してもらっているのは嬉しいですけど、その分、『給料に見合った仕事をしなきゃいけない』という気持ちはありますね。」

一方で、これからのキャリアを考えたとき、営業を経験できていることには大きな意味を感じています。

佐藤:
「自分、資格とかスキルが何もないんですよ。
トレーナーも資格を取る直前で、移籍のタイミングで退職してしまったので。
だから、営業って資格ではないけど、スキルではあると思っているんです。
仮に今後転職するにしても、このまま今の会社でやっていくにしても、必ず身につけておきたい。
だから営業をやること自体は、かなりポジティブに捉えています。」

サッカーを続けるためだけの仕事ではない。
現役を終えた後にも残るものを、今のうちからつくっていく。
仕事にもサッカーにも本気で向き合う佐藤選手の姿勢が、そこにも表れています。

「県リーグなのに、ここまで本気なのか」

佐藤 史門

—— 事前のアンケートでは、NAGAREYAMA F.C.に入って良かったこととして「チームの本気度」を挙げていましたね。

佐藤:
「そこは一貫して変わらないですね。
カテゴリーだけで言ったら県リーグじゃないですか。
でも、そのカテゴリーの中で、ここまで本気でやっている。
そこはすごいと思います。」

そして、ピッチの中だけではありません。
佐藤選手がNAGAREYAMA F.C.へ来て驚いたのが、サポーターの存在でした。

佐藤:
「アウェイのすごく遠いところにも、数人じゃなくて、10人単位、何十人単位で来てくれたりする。
天候も関係なく来てくれるじゃないですか。
そういう環境って、なかなかないと思うんですよ。
その輪の中に自分が入れるっていうのは、本当にNAGAREYAMA F.C.だからだと思います。」

以前所属していたクラブでも、もちろん応援してくれる人はいました。
しかし、NAGAREYAMA F.C.でプレーする中で、サッカーに対する感情そのものが変わったといいます。

「なんで、こんなに来てくれてるのに勝てないんだ」

以前の佐藤選手にとって、試合に負けた悔しさは、ほとんど自分自身に向いていました。

佐藤:
「(試合に負けた時は)自分の悔しさしかなかったぐらいです。
負けたり、交代させられたりすると、結構イライラするタイプなので。
去年なんかは、それが態度にも出ていたと思います。」

ところが、ある試合を境に、少しずつ変化が生まれました。

佐藤:
「試合が終わってサポーターさんのところに挨拶へ行くときに、なんかいろいろ込み上げてくるようになって。
自分のプレーが良かった、悪かったに関係なく、そういう感情が出てくる試合が増えました。」

特に結果が出なかった試合では、こんな感情を持つようになりました。

佐藤:
「『ほぼ毎週、こんなに来てくれてるのに、なんで勝てないんだ』って思うようになりましたね。
今までは、応援してくれる人のために悔しいという感情って、あまりなかったんですよ。」

勝ちたい理由が、自分のためだけではなくなった。
その変化について、佐藤選手は自分なりにこう捉えています。

佐藤:
「もともと、自分のためにサッカーをやっていて。
結果を出したら、それが親に対する結果というか。
僕、親孝行を何か形にするのがあんまり得意じゃないので、サッカーを続けることとか、試合に勝つこととか、点を取ることとか。
それが自分なりの親孝行の一つだと思っていました。
親もよく試合に来てくれるので。
それが、親だけじゃなくてサポーターさんにも向くようになったのかなって思います。」

サポーターの顔を知る。
名前を覚えてもらう。
毎週のように試合へ来てもらう。
そうした関係が積み重なることで、いつしか「勝ちたい理由」が一つ増えていました。

「やめた方が良かったと思ったことは、一回もない」

仕事と、本気のサッカー。
もちろん、簡単な生活ではありません。

—— 社会人になっても本気でサッカーを続ける生活について、どう思いますか?

佐藤:
「普通の生活をしている人からしたら、結構異常なライフスタイルだと思うんですよ(笑)。
仕事が終わったら、普通は家に帰ってゆっくりしたいじゃないですか。
でも、そこから1時間半とか2時間、めちゃめちゃ疲れることをして。
帰って寝て、翌朝また仕事に行く。
実際に『よくやるね』みたいに言われたこともあります。」

年齢を重ねるにつれて、身体の変化も感じています。
睡眠時間は必ず確保する。
練習がなければジムへ行く。
ただし、身体の状態に合わせて負荷を変える。
完全に休む日もつくる。
そうして、自分の身体と向き合いながら競技を続けています。
それでもサッカーに向き合う理由について、こう語ります。

佐藤:
「年齢が上がって、身体がきつくなってきているのは感じます。
でも、流山に来てからも、『やってて良かったな』と思うことはあっても、『やめた方が良かったな』と思ったことは一回もないんです。
『やめておけば良かった』とかもない。
だから、やるなら。
覚悟があるなら、やった方がいいと思います。」

ただし、「好きなら続ければいい」と簡単には言いません。

佐藤:
「覚悟がない状態でこの生活をすると、たぶん身体を壊すし、誰かに迷惑をかけると思うんですよ。
疲れて仕事中に寝ちゃったりしたら、会社にも迷惑がかかる。
疲労は絶対に溜まるので。
だから、覚悟があることが前提。
そのうえで、僕はやった方がいいと思っています。」

なぜ、そこまでして続けられるのか。
答えは、とてもシンプルでした。

佐藤:
「根本は、サッカーが好きだからですね。」

「やれるうちに、やらないと。」サッカーを続けるか悩む選手に伝えたいこと

佐藤 史門

実は、NAGAREYAMA F.C.へ来る一年前。
佐藤選手は、競技人生の中でも特に強く「引退」を考えていました。

佐藤:
「一昨年は、引退を考えていました。
シーズン開幕の一週間前に怪我をして。
その年は、それまでの中でも一番練習試合で数字が出ていて、身体も動けていたタイミングだったんです。
監督のサッカーともすごく相性が良くて、いろんなポジティブなものが重なっていたところで怪我をした。
だから、めちゃくちゃ悩みましたね。
3〜4カ月、ほとんどサッカーができない時間が続きました。」

—— もし、その後NAGAREYAMA F.C.と出会っていなかったら、どうなっていたと思いますか?

佐藤:
「NAGAREYAMA F.C.でも断られていたりしたら、本気でガチガチにやるサッカーは、やめてたかもしれないです。」

それでも今、佐藤選手は再び本気で上を目指しています。
そして、プレーできる時間が永遠ではないことを、以前より強く感じています。

佐藤:
「特に僕は、フルタイムで出たい選手なので。
年齢も上がってきて、『これ、もうきつくない?』って感じることも出てきています。
だから本当に、『やれるうちに、やらないと』って思います。」

まだ可能性があるなら。
まだ上を目指したいと思うなら。
NAGAREYAMA F.C.が関東リーグへ上がる瞬間に、自分の力で関わりたいと思うなら。

佐藤:
「まずは『やる』っていう選択肢を取った方がいいと思います。」

仕事もする。
サッカーもする。
身体のケアもする。
自分の生活にも責任を持つ。

決して楽な道ではありません。
だからこそ、「覚悟」は必要です。

それでも佐藤選手は、サッカーを続けてきたこれまでを振り返って、こう言います。
「やめた方が良かったと思ったことは、一回もない。」
やれる時間には限りがある。
だから、やれるうちにやる。
その言葉には、これまで何度も環境を変え、引退を考え、それでもサッカーを選び続けてきた佐藤史門選手だからこその重みがあります。

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